コラム

成功例から学ぶ!課題解決策の見つけ方

マーケのヒント
執筆
尾崎 久恵
公開日
2015年11月6日
更新日
2022年9月21日

先日、某食品メーカーさんとお話していたときのこと。

「ポン酢のレシピコマーシャル、上手いですよね〜。うちもあんな“レシピで売上アップ!”とかしたいんですけどね。」とのこと。確かに、「こんな使い方知らなかった!」「しかも簡単そう!」「しかも美味しそう!」と、実際にレシピを試された方もいらっしゃるのではないでしょうか。

“レシピで売上アップ!”というのはつまりレシピによってお客さんの「使用量」を増やしたということだと思うのですが、この「使用量」をとても簡単に分解しますと、以下のようになります。

使用量=(1回あたりの使用量)×(使用回数)

はい。とってもシンプルですね。レシピはこの(使用回数)の部分、つまり「使用頻度」をあげることに貢献したわけなのです。普段はお鍋の時にしか使用しない家族が、新しいレシピのおかげでこんなお料理にも、あんなお料理にもポン酢を使ったら、使用頻度があがって使用量が増えたというわけです。

「お〜なんて素晴らしい!うちもレシピを考えよう!」と思われた食品業界の皆さん、実はここで少し注意が必要なんですよ。先ほどの式をもう少しだけ詳しくすると…。

使用量=(1回あたりの使用量)×(使用回数)×(家庭内在庫率%)

(家庭内在庫率%)…ですが、ご家庭に商品がある割合です。今回のポン酢は、調味料の分類に入ると思うので、約100%で考えました。(実際のところ、ポン酢はファミリー世帯だと家庭内在庫率は90%ぐらいでしょうか)調味料は、使っていってきれたら、買ってくださいってお願いしなくても、消費者の方々が買い足してくれるというものですのでパーセンテージは高くなります。(もちろん別の銘柄にスイッチしてしまう可能性はありますが。)

ただ、対象の商品が嗜好品であったり、別のものに代替できる食品であったり、そもそも無くても困らないモノである場合、このパーセンテージがどうなるのかが非常に重要になってきます。(使用回数)を増やすためのマーケティングを考えても、(家庭内在庫率%)がゼロであれば、何を掛け合わせても結局ゼロになってしまうからです。

この場合、考えなければいけない問題解決策としては、(家庭内在庫率%)をいかに上げるか?になってきます。これは(使用回数)増加のために行う解決策とは別のものである可能性が高いです。(家庭内在庫率%)を上げるには、「いかに買ってもらうか」「まとめ買いなどで、在庫をいかに多くもってもらえるか」など…を考えなくてはいけません。すぐに思いつく方法としては、商品の容量を増やしたり、2個パック3個パックを考えたり。通販なら定期購入をお得にしたり…。食べきった時にもう一度買いたくなる工夫をするとか…?いまいち素敵な提案が思いつかず〜ですみません…。ただ、(使用回数)を上げる工夫とは全く違ったモノになると思います。

成功例である「ポン酢のレシピ」を水平展開しようという今回のお話でしたが、成功例をそのまま使ってみるのではなく、なぜ成功したのかを整理して要素を抜き出すという作業を間に入れると、適切な課題発見⇒課題解決になると思います。もしかしたら、残念ながらその成功例と同じ手法は使えないかもしれませんが、きっと課題の所在が明確になるのではないかと思います。

ホジョセンメルマガに登録しませんか?

ホジョセンメルマガは、マーケティングのご質問にお答えしたり、マーケティングコラムをお届けしたり、と毎週たったの5分で読めるマーケティング情報を、毎週水曜日にお送りしています。

ホジョセンメルマガに登録