コラム

インターナルブランディング 〜マーケティング研修の現場から〜

マーケのヒント
執筆
尾崎 久恵
公開日
2015年10月2日
更新日
2022年9月21日

弊社ではマーケティングに関する社内研修のお仕事をよくさせていただいているのですが、今回はその中でも最近テーマとしてよくご相談いただく「ブランド」まわりに関するお話です。

先日、「ブランディング」についての社内研修をさせていただいたクライアントの方々とお話する機会がありました。そこで、インターナルブランディング(インナーブランディングとも呼ばれています)の大切さについてのお話になりました。

とある企業のブランドだったり商品ブランドって残念ながら、いち従業員が簡単に壊してしまうことができます。ブランドを保持し、理想のブランドに日々近づけていくためには、従業員全員のそれこそ不断の努力が必要なのです。会社の社長さんがブランドのエクイティーピラミッドを作成して、「これが弊社の目指すブランドです。よろしく!」なんて言ったって、従業員ひとりひとりがそのエクイティーピラミッドにあることを心の底から理解し、行動の規範とし、日々の業務に落とし込むことができなければ、ブランドを作ったり維持したりすることはできません。

ここで少し、とても簡単にブランドを壊してしまえる例を挙げてみます。

お客様ひとりひとりにきめ細かなサービスを約束しているブランドなのに、カスタマーセンターはぞんざいな対応を行っている。

⇒直接お客さんと接触する部署(カスタマーセンターや営業、売り場店員など)は、特に簡単にブランドを壊しやすい(逆に言えばブランドを作りやすい)立場にあります。

SNSやweb掲示板などに社員がブランドを貶める書き込みをする。

⇒最近、何件もニュースになりましたよね。某外食チェーンの店舗での写真付き悪掲載などは、いちアルバイトがブランドを貶めた例です。

価格を下げずにブランド力を高める戦略をとっている商品ブランドなのに、バイヤーとの商談で価格を大幅に下げて大量に商品を売り込んでいる。

⇒価格を下げたらたくさん買ってあげるよ〜というバイヤーの美味しい話だって断る必要があります。そうでなければ、価格を大幅に下げて売られてしまい、結果として価格を下げ続けることによってしか商品価値を維持できないというダウンスパイラルに陥ってしまいます。

簡単ですよね…?ブランドって悲しいことに、壊すのは本当に簡単なのです。ブランドを維持し理想のブランドに育てていくためには、人事制度や社内の行動規範など内側の仕組みなどをも整えていく必要があるということです。

先述のバイヤーの美味しい話を断ってこそ人事的に評価をされる仕組みでなくてはなりません。そして何よりも全従業員が自分ごと化できていて、ブランドのために主体的に行動できていることが理想ですので、トップダウンではなく「自分達で作った(と思える)ブランド」であることも大切です。これは特にリブランディング等でブランドを作り直す際には大切なポイントになってくると思います。

また、弊社でお薦めしているのは、全ての権限から独立したブランドマネージャーを作ってもらう事です。企業が行う戦略や仕組み作りを全て「ブランドにとって…」の観点でチェックし、改変の必要があれば権限をもってNOを出せるブランドの管理人です。

ブランディングの成功はいかに緻密なインターナルブランディングができるか?にかかっていると言っても過言ではないと考えています。ブランドにかかわる全従業員、そしてもっと言えば物流業者、小売業者など、最終的な顧客に届くまでにかかわる全ての人が対象となる壮大なプロジェクトなのです。

ブランディングでお悩みのご担当者様、ぜひご相談くださいね。お問い合わせはこちら。

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