コラム

プロダクトブランドとコーポレートブランド

マーケのヒント
執筆
高橋 孝之
公開日
2018年6月22日
更新日
2022年9月21日

化学品メーカーです。これまで化粧品・医薬品・食品などの事業部ごとに企画開発から営業までを行っていたので、気づけばそれぞれの事業が異なる顧客層をターゲットにし、異なる販売戦略をとるようになりました。この度、事業横断型の担当部門ができ、全社的なブランドイメージを作ろうと検討し始めたのですが、事業部ごとの色が強くどのように進めるべきか悩んでいます。何かアドバイスをいただけますでしょうか。

化学品メーカー

まずご相談者様にお伝えしたいこととして、事業部ごとに異なる顧客層や販売戦略を持つことは決して悪いことではありません。

ご相談者様の会社の場合、製品ごとにブランドがたくさんあり、それぞれが売り上げを上げていることと思いますが、プロダクトブランドが独立していることで、それぞれの商品を効率的に販売する効果もありますよね。

このような状況にあって、なおご相談にあるように全社的なブランドを作ることを検討したいというのであれば、まずは全社的ブランドに期待されている役割が何であるのかをじっくり考える必要があります。言い換えると、コーポレートブランドがどんな場面で、何のために、必要になるのか十分に確認しなくてはならないということです。

もし、安易にコーポレートブランドを作ってしまい、それに合わせてプロダクトブランドを無理に修正しようとすると、今まで築き上げてきたそれぞれのプロダクトブランドのイメージが壊れてしまう可能性があります。また、異なるブランドを通して、異なるターゲットに向け、異なる便益を提供しているということですから、コーポレートブランドを作ることでその区分が薄まってしまうリスクもあるでしょう。

ですので、コーポレートブランドを作ることで、これまでのプロダクトブランドに大きな影響を与えてしまうことが考えられるのであれば、敢えてプロダクトブランドには介入しないという選択肢のほうが良い場合もあるということも考慮しておきましょう。

しかしその一方で、採用活動やBtoBでの取引など、製品が直接関わらない場面でコーポレートブランドが用いられる場合であれば、プロダクトブランドに影響を及ぼさないこともあります。例えば、女性に優しい会社、マーケティングに強い会社などのイメージがそうですね。

繰り返しになりますが、全社的なブランドイメージを作りたいということであれば、まずはコーポレートブランドの役割が何なのか、何を期待されているのかをじっくり考えた上で本当にそれが必要かどうかを検討しましょう。

その上で、やっぱり全社的なブランドイメージの構築が必要となった場合は、例えばトンマナを大枠で統一するという方法などが挙げられます。複数のブランドを同時に販促する場合、誰に売るか(WHO)、何を売るか(WHAT)、何のために売るか(WHY)の部分は違っても、どのように売るか(HOW)はある程度統一できる場合がありますよね。

たとえば、小林製薬の商品は、なんだかどれも似た雰囲気を持っていたり、日清食品のTVCMも、ブランドは違っていてもなんとなく似た雰囲気というか信念のようなものを感じる事があるのは、どのように売るか(HOW)がある程度統一できているからだと思います。

以上ご参考になりましたでしょうか。プロダクトブランドが重要な領域、コーポレートブランドが重要な領域をそれぞれ定義し、既存の事業を壊さないことに留意して考えてみてください。

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