コラム

全社員インタビューで、コーポレートブランディングを効果的に

マーケのヒント
執筆
堀井 里奈
公開日
2018年4月9日
更新日
2022年9月21日

ホジョセンが会社のコーポレートブランディングをする際は、必ず全社員にその会社の良さについてインタビューします。短い場合は15分程のインタビューですが、例え1000人規模の大企業であったとしても、正社員の方はもちろんのこと、パート・アルバイトの方、場合によっては専属の清掃員の方まで、皆さんにインタビューを実施します。

「こりゃタイヘンだ!」 これを聞いて驚かれる方も多いのではないでしょうか。 もちろん、ホジョセンのスタッフだけでは全社員のインタビューが難しいので、クライアント様にはブランディングチームを立ち上げていただき、インタビュー含めたブランド作りのコアメンバーとして活躍をしていただきます。

では、コーポレートブランディングに何故そこまでの労力や時間を使う必要があるのでしょうか。 それは「コーポレートブランドを浸透させる」上で、このプロセスを踏むのとそうでないのとでは大きな差が生まれてしまうからです。 コーポレートブランドを作る事はそれ自体が目的ではなく、その先にいる顧客の理解に繋がってこそ。その為には、社員全員がきちんと正しい形で、「コーポレートブランドはどのようなものなのか」「コーポレートブランドを通じて何を伝えたいのか」を理解・共感し、日々の業務に反映しなくてはなりません。

コーポレートブランディングを行うときは、必ず全社員インタビューを実施

コーポレートブランディングは大きな会社ほど困難になる

他社と差別化をしたい、改めて自社の価値を見直したい、目指すべき場所を明確にし、戦略を立てる一環として、商品開発などなどコーポレートブランディングを行う目的は様々です。 しかしながら、目的が如何ようであれ、お客様センターの対応係であっても、経営陣であっても、広報でも、営業でも、大切にしている価値や考え方は一致していることが理想ですよね。それらがきちんと統一されていればいるほど、顧客は接客されている時も広告宣伝を見た時も、会社に対するイメージがその時々や人によってブレる事はありません。つまり、顧客のコーポレートブランドへの理解は格段に深まるのです。

さて、ホジョセンが日々業務を行う中で、「コーポレートブランドを作りたい」というご依頼をいただいたり、「組織としてどこを向いて良いのかがあやふやである」「人によって考えがばらばらである」ということについて課題感を抱いているのは、大抵はある程度の規模をもってビジネスをされている組織の方々という印象があります。

コーポレートブランドを決めることとは、即ち、「自分たちの目指すべき形をハッキリとさせ、組織全体でその方向に向かい、顧客にそれらを伝えていく事」であると同時に、「組織にとっての重要でないもの、必要のないものを極力削ぎ落とす事」です。つまり、場合によっては、一部、または多くの社員が考え方を変える必要に迫られることになります。組織の一員として役割を担っている以上、誰しもが少なからず愛着をもって働いていらっしゃるはずです。また、一生懸命働いている方ほど、自分の考え方に強い信念を持っていることでしょう。 そのため、大きな会社ほど意識統一が難しく、コーポレートブランディングのこうした過程で、軋轢や反発が生まれやすいというのも頷けます。それが色んな部署や様々な地域にまたがっていればなおさらですよね。

だからコーポレートブランディングには全社員インタビューが必要!

当然の話ではありますが、確固たるコーポレートブランドを築くには、社員一人ひとりの力がなくては達成しえません。 前章でコーポレートブランディングの過程では、様々な軋轢や反発が起こりうるという話をさせていただきましたが、だからこそ「全社員インタビュー」が有効になります。 コーポレートブランディングにおける「全社員インタビュー」の効果として、「ブランディングプロジェクトの自分ごと化」と、「ブランディングチームの育成」の2つが挙げられます。

まず、前者についてですが、きちんと全員の意見を聞くというプロセスを踏むことで、コーポレートブランドと全社員との接点が生まれ、プロジェクト開始時点から「関係のないプロジェクト」ではなく「自分たちの意見から作ったブランド」に変わります。また、プロジェクト自体の認知も上がり、全社をあげての取り組みとして認識されやすくなります。

そして、後者についてですが、ブランディングチームの構成員たちが、全社員に時間を貰い、対面で話を聞くことによって、その人たちの言葉をきちんと届け、より魅力的なコーポレートブランドを作りたいという責任感が生まれます。おおよそ半年かけて行われるこのプロジェクトの間で、自社のブランドへ理解を深め、完成した暁には彼ら彼女たちがリーダーとなりブランド浸透を実行していきます。

全社員インタビューにより、多くの人からよりたくさんの意見を吸い上げることによって、ブランド作成の材料を豊富にすることももちろん重要では有りますが、社内にブランドが浸透しやすい環境を予め整備しておくという裏の目的もあることをここではお伝えしたいと思います。

コーポレートブランディングを効果的に進めるために

将来的により強いコーポレートブランドを育てていくには、そしてより消費者に選んでもらえるような魅力的なコーポレートブランドにしていくためには、先にも述べた通り、ブランドの一貫性が何にも勝って重要になり、そのために全社員インタビューを通じて、経営陣主導のトップダウンだけでも、社員主導のボトムアップだけでもだめで、あくまでも、両方向の全社員を巻き込む必要があるというお話しもさせていただきました。 しかしながら、全社員の話を聞くことは、他の業務もある中で大変困難なことかと思われます。各部署の主要なメンバーを対象にするでは対応できないの?通常業務もある中で、そんな時間もとれない。そう思われるかもしれませんね。 そこで、少しでも効果的にコーポレートブランディングを進めるための、ポイントについて、いくつか紹介したいと思います。

社長に積極参加してもらうこと

組織のトップである社長の想いをしっかりとコーポレートブランドに組み込むことももちろん必須ですが、それに加えプロジェクトスポンサーになってもらうことをお勧めします。できれば、どのような過程を経てブランドが形を成したのか、また社員それぞれが会社やお客様にとってどのような存在でどのような想いを持っているのか社長にも認識してもらうことが理想ですが、それが難しければ社長には出来得る限りのバックアップをお願いするのがいいでしょう。

また、いくら社員で魅力的なコーポレートブランドを作ったとしても、社長がブランドに全く沿わないことを発信して経営を進めたら、せっかく作ったコーポレートブランドも一向に浸透しません。過程を含め、ブランドをしっかりと理解し、浸透の際に積極的に動いてもらえる社長であることが、コーポレートブランディング成功の大きな鍵になる事は言うまでもありません。

(また、大きな声では言えませんが、比較的重要なポジションの方で、後々反発を生みそうと予想される方も、プロジェクト初期段階で合意をとっておく事はとても大切ですね!)

ブランディングチーム構成員には3〜5年目のやる気のある有望な若手をメンバーに

もう既にお分かりかもしれませんが、コーポレートブランディングではとても体力を使います。作る段階でも、考え抜く時間が多くなってきますし、役員や一部の人々の賛同を得られないことが続いたり、変えようとする立場であるがゆえに、反発の対象になり、チームにとって長い戦いになり疲弊することもあるでしょう。 そのため、ブランディングチームの構成員は、このような逆風の中でも、強い想いを持って実行できる人であることが理想です。社のことをある程度理解している3〜5年目で、なおかつやる気と体力のある若手社員であれば、コーポレートブランドの作成の段階でも浸透の段階でも、周りから協力を得やすいのではないでしょうか。

上記でまとめたものの他にも、フォローできる環境の整備であったり、楽しくブランドを浸透できるような取り組みを実施したり、社長含め上層部から意思統一及びブランドの発信を行っていくなどの工夫は必要かもしれません。 コーポレートブランドは、一朝一夕で出来上がるものではありません。 しかしながら、紆余曲折を経て出来上がったブランドをもって各々の業務を遂行し続けていけば、必ずコーポレートブランドは育っていきます。顧客に愛されるコーポレートブランドが育つことで、社員にとっても顧客にとっても会社の価値がますます大きくなっていくのではないでしょうか。

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