コラム
本田宗一郎さんがスーパーカブ開発の最終段階で発したというこの言葉は、そのまま広告宣伝のコンセプトとして使われ、その広告宣伝は大きな話題となりました。このコンセプトは人々の関心を集めるとともに、スーパーカブに対して独自性のある認識を定着させることにも大きく貢献したのです。
不要な競争をせずに勝つことがポジショニングの目的であり、セグメンテーション・ターゲティングはポジショニングを行うための手段です。
自ブランドに共感し選んでくれる人を見つけるために消費者を分類するのが消費者セグメンテーションであり、ターゲットが絞り込まれることでブランドはより明確なものとなり、効果的なポジショニングを形成することができるようになります。
ホジョセンのサービス名称でいうところのSegment Compassは市場と消費者の定量的・定性的理解にもとづいた消費者セグメンテーション、ターゲット理解を提供します。
Segment Compassは3つのステップで構成されます。
Step 1は仮説立案フェーズで、当該マーケットにおいて存在するであろうセグメントと、それらセグメントが何によって判別されるべきかを考えます。Step 1の主要論点は、①市場全体をどのように定義するか、②その市場において、どのような意思決定パターンが存在しているか、です。標準的には1ヶ月ほどかかります。主なアウトプットは、ニーズマップ(ロジックパターン)です。
Step 2は、Step 1で構築した仮説を定量的に検証するフェーズです。消費者アンケートをもとに、何らかの方法でセグメントわけします。手法はクラスター分析や潜在クラスなどいくつかありますが、重要なのは実用的であることです。セグメントを決定するために使用する質問の数が多すぎないこと(どうしても多くなる場合は、短縮版を作成する)は、将来的なセグメンテーションの活用において不可欠な条件です。Step 2の主要論点は、①市場は仮説どおりに分割されるのか、②抽出されたセグメントによって異なる行動が見られるか、③抽出されたセグメントは十分なサイズを持っているか、です。標準的には1〜2ヶ月ほどかかり、主なアウトプットはセグメント情報をまとめたFact Bookなどがあります。
Step 3は、Step 2で作成したセグメンテーションモデルに従って、各セグメントの消費者の理解を深めるフェーズです。ホジョセンでは訪問調査と呼ばれる手法を活用します。Step 3の主要論点は、①各セグメントを他との違いを決定づけるポイントは何か、②各セグメントの人が抱えている課題は何か、です。標準的には1〜2ヶ月ほどかかります。最終的には、各セグメントのプロファイリングシートとしてまとめます。
セグメンテーションはあくまで手段に過ぎません。使えるセグメンテーションとするためには、カテゴリをわけるセグメント数とセグメントサイズの2点を考慮して進めなければなりません。
細かくセグメンテーションを行うほど、それだけセグメント間の違いは小さくなります。細分しすぎると、さほど違いのない(≒さほど重要でない)要素で分けることになり、結果を区別して解釈するのも難しい・あまり意味のないものになってしまいます。セグメンテーションではカテゴリにとって意味のある違いを抽出することが重要です。
また、狙うべきセグメントサイズはブランドが掲げる目標シェアに依存します。例えば目標が数%程度のブランドに対して、20%のターゲットセグメントを設定しても標的が大き過ぎて扱いにくくなってしまいます。また、5%といった小さいセグメントを統計的に抽出することが現実的かというテクニカルな問題も発生します。ブランドが属するカテゴリのビジネスリテラシーや統計的知見を統合して、最適なセグメンテーションを行う必要があるのです。
Segment Compassでは消費者の価値観や嗜好を軸に細分する消費者セグメンテーションを行います。「誰に」「何を」提供するブランドなのか明確にし、ポジショニングにつなげていくためです。具体的には、セグメンテーションをより精緻にするための仮説だしの段階やターゲットセグメントをより深く理解する段階で定性調査を行います。
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