コラム

初めて消費者セグメンテーションをしたい

Q&A
執筆
高橋 孝之
公開日
2017年3月20日
更新日
2022年9月21日

おつまみの卸売とメーカーの両方の事業を行なっています。最近、売り上げが厳しい状況が続いています。ターゲットを絞った商品開発を行った方が良いと考え、初めてセグメンテーションをしてみようと計画しています。セグメンテーションをする上で、どのようなことに注意したら良いですか?

食品メーカー

初めてセグメンテーションをされたいということですね。商品開発、商品改良をしていくためにも、またマーケティング活動の精度を上げていくためにも、消費者セグメンテーションを活動の基盤としてもっておくことは、何かと有用だと思いますし、社内の戦略等も立てやすくなると思います。ぜひ取り組んでいただければと思います。

1.違いよりも共通点に注目する

セグメンテーションというのは、乱暴に言うと、1億2000万人の日本人を数パターンに分類しようとする手法であり、壮大な単純化の作業だと言えます。当然、1人1人は違う人間ですので、違いを見つけることは簡単です。細かい違いに着目してしまうと、究極には1億2000万のセグメントに分けなくてはいけなくなってしまいますね。ですので、セグメンテーションで大切なことは、共通点に着目することです。細かい違いはあっても、この人とこの人の共通点はここだよね…と、共通点に着目して分類分けをしていきます。共通点は仮説をもっていないと見つけられませんので、違いを見つけることよりも難しいです。

2. 現在と未来は違うことを認識する

とある商品を消費者ニーズやインサイトでセグメンテーションに分けたとします。ただ、現状の消費者が、セグメンテーション通りに自分の中でニーズをしっかり認識して購買行動をとっているとは限らない場合もありますので、注意が必要です。というのは、各メーカーが、ニーズを理解してそれらに訴求したマーケティングを行なっておらず、マーケット全体としてセグメンテーション毎に明確な違いをもったコミュニケーションをしていない場合、現時点ではニーズとセグメンテーションが一致していない…ということもあるということです。

もちろん未来を考えれば、セグメンテーション毎にコミュニケーションを分けていくことで、明確に市場が分れていく可能性があります。御社がある程度、市場や消費者の意思決定基準に影響を与えて、顕在化していないニーズを喚起できるのであれば、御社主導で消費者が分かれていくでしょうし、もし市場全体にインパクトを与えられないのであれば、購買ベースの決定木的なセグメンテーションの方が使いやすいかもしれません。状況を見て判断をする必要があると思います。

3.セグメンテーションモデルは最終完成版ではありません

セグメンテーションモデルを作ったとして、それは最終完成版だと思わない方が良いと思います。市場の動向は常に変化するものであることも前提としてありますし、固めてしまわない方が良いと思います。また、セグメンテーションを作った後にも御社内に知見や経験、理解が深まっていくと思いますので、柔軟にアップデートしていくと良いでしょう。その方がマーケティング活動の基盤としても使いやすいと思います。

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