コラム
お菓子メーカーのマーケティング部に所属しています。この度、新商品の発売にともない、広告を打つことになりました。とりあえず自分なりに、商品の魅力をふんだんに盛り込んだ広告を作ってみたのですがイマイチしっくりこなかったので、上司に相談したところ、「ペルソナがはっきりしていないのではないかと」指摘されました。大まかなターゲットは意識していたつもりだったのですが、どうやらターゲットの絞り込みがまだ足りなかったようです。「大まかなターゲット」ではなく「ペルソナ」を作成するとどんな利点があるのでしょうか。
お菓子メーカー
ホジョセンメルマガでも度々登場するする「ペルソナ」ですが、「ペルソナ」とは、ターゲットを象徴化した、「一人の架空の人物像」を指します。
例えば、今回ご相談では、大まかなターゲットは意識していたものの、ターゲットの絞り込みがまだ足りないとのことでしたが、
名前は谷崎なな、27歳丸の内OL独身。都内豊島区在住し年収は360万円。1ルーム家賃9万円のアパートで一人暮らしをしていて、近い将来、結婚し家庭を持ちたいと考えているものの、現在の彼氏(31歳)は仕事が忙しすぎるため、新たな出会いを求めて誘われた合コンに参加しようか迷い中。休日の過ごし方は、お手頃で可愛い洋服を探したり、お洒落なカフェを巡ってはインスタグラムに可愛い写真をアップすること。最近、海外セレブの間で流行しているオーガニックな生活にも憧れて、毎日の朝食に健康・美容を意識したアサイーボールを取り入れ始めたものの、平日のおやつどきにに食べる、大好きなミルクチョコレートの間食がやめられない。
と、ペルソナ作成の場合は、生活様式や考え方・価値観・趣味嗜好など、ざっとこのくらい詳細に設定する必要があります。
さて、ご質問いただいたペルソナを設定する利点としては、以下の3点が挙げられます。
よく巷で「20代女性」といった、とても曖昧なターゲット設定の仕方を見かけますが、同じ20代女性でも、ある人は専業主婦20代女性を思いうかべ、またある人はキャリアウーマンの20代女性をイメージするかもしれません。
マーケティングに関わる全ての人の認識を一致させるというのは、一見とても難しいことのようですが、ターゲット設定のぼんやりしていると部分に明確な輪郭を与え、それを共有することで、こうした人による認識のズレを防ぐことができます。
ペルソナを設定できていると、製品に求められているものは何かがよくわかるようになります。例えばパッケージをデザインする際にも、どんな文言を盛り込めば良いのか、注意すべき点は何か、など細かいことがはっきり見えるようになります。
「20代女性」のようにターゲットが像があまり明確でなく曖昧な場合に起こりがちなのが、「20代女性はきっとこうだろう」とそれぞれの人が主観で意思決定をしてしまうということです。これでは、結果として出来上がる商品や、それに付帯するコンセプトや広告文などが独りよがりなものになってしまいます。
そこで、「大まかなターゲット層」ではなく、特定の一人、つまり、ペルソナを共有することで、同じ商品の様々なシーンでの意志決定の軸を「ターゲット目線」に統一することができます。
今回のご相談の場合でも、「もし谷崎ななさんなら、こんな広告を見て、広告のどんなメッセージに共感するだろう」と客観的に判断することができるようになりますね。
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