定性調査初心者の認識をひっくり返す本~消費者の意見を聞いてはいけない。

金瀬 幸子

簡単な紹介

こちらの本は定性調査で分かることや調査の進め方などが具体的かつ簡潔に書かれています。手のひらサイズの文庫本で、ページ数も100ページ以下と非常に読みやすい本になっていて、文章も読みやすく、通勤中でもすぐに読めてしまいます。

内容紹介

この本の内容は、全て題名に込められているのですが、定性調査のあるべき姿について述べられています。消費者自身の仮説を聞くのではなく、消費者からは事実を集め、それをもとにマーケターが仮説を立てるべきだと筆者は主張します。その主張の根拠は、著者の経験に基づき非常に簡潔に説明されています。他にも定性調査とは何かという基本的なところから実際の調査の進め方まで書かれており、定性調査を行うに当たり非常に実用的な参考書と言えます。

ここが素晴らしい!

第1章でいきなり定性調査に関する認識を綺麗にひっくり返してくれました。この本を読む前に私が定性調査に行っていたら、恐らく会話の全てを記録して、オフィスに戻ってから頭を抱えていたと思います。定性調査では何を調べるべきなのか、また調べたものをどう扱って結論を出すのかが分かりやすく書かれています。

これまで私は、同程度のリソースをかけた場合に得られるサンプル数が圧倒的に多い定量調査の方が消費者の意見を正確に知ることができるはずで、多くても数十人程度にしか話を聞けない定性調査が一体どれほどの意味を持つんだろうと不思議でした。つまりは定量調査の方が優れた調査法だと思っていたのです。しかし、読み進めていくうちにこうした定量調査で分かる「顧客の意見」って何だろうか、そもそもこれは「意見」と呼べるものなのか、と言う視点が生まれます。定性調査や定量調査は、それぞれのメリットやデメリットを理解して、意識的に調査を設計することがとても大事です。定性調査で分かることは定量調査では分かりませんし、その逆もまた然りです。私は、定性調査は「なぜ」を知り、新しい商品の可能性を探ることができるもので、定量調査は商品の「評価」を探るものだと理解しています。

本の中で、定性調査の進め方の例なども紹介されていて、注意点からメモの取り方、その後の意見出しまで書かれているので定性調査というものにピンと来ていない方や、もう一度原点に立ち返りたいという方にもおすすめです。なかなかパンチのある題名の意図も読み始めてすぐに理解することができ、早い段階でこの本を読んでおいて良かったなと感じました。

本には通読が必要なものと、辞書的に使うものとがあると思いますが、こちらの本はぜひ通読をお勧めします。

今回紹介した本・論文

書名消費者の意見を聞いてはいけない。
著者稲垣佳伸
ISBN9784903649054
書影とアマゾンリンク
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