コラム
我々が新商品として販売を開始した缶コーヒーに関して、発売時に新商品のターゲットとして30-40代の男性を想定してマーケティング・プロモーションを行ってきたのですが、現状、設定に反して同世代の女性にも受けていることが判明しました。発売から1年経過しているということもあり、今更、ターゲットの転換をはかってもよいのか、また、転換をはかるとしたらどのようにターゲットを変えていったら良いのかについて知りたいです。
飲料メーカー
今回のご質問には以下3つのステップで段階的に答えていく必要があります。
それでは、これらに関して詳細に説明していきます。
今回の例では缶コーヒーが想定していなかった30-40代の女性にも売れているという状況があります。この際、まず、この30-40代の女性は『非傾聴ターゲット』であるか否かを判断する必要があります。
『非傾聴ターゲット』とは「商品を買ってはくれるけれど、その人たちの言うことを参考にしてブランドを作ってはいけない人たち」を指します。より分かりやすく言うと、買わないでくれとは言わないが話を聞いてはいけない人たち、つまり、機嫌を損ねないように無視しないといけない人たちを指します。
典型的な例としては、ヘアケア商品において髪質・香りにこだわりがない男性ユーザーが挙げられます。このような人達はヘアケア商品を買ってはくれますが、この人達をターゲットに含めてしまうとマーケティングがぼやけてしまいますよね。
つまり、今回の例の場合、30-40代の女性が『非傾聴ターゲット』であると判断されるならば、この対象に対してマーケティングはせず、今まで通りのマーケティングを継続するべきであると言えます。
1. で30-40代の女性が考慮すべきターゲットであると判断されるのならば、30-40代の女性をターゲットに含めたとき、現在のブランドポジショニングに沿うか否かを考える必要があります。つまり、今回の場合ならブランドのポジショニングと30-40代の女性が共存不可能であるならば、この場合もこの対象に対してマーケティングはせず、今まで通りのマーケティングを継続するべきです。
最後に、2. においても共存可能であると判断されるのならば、何故30-40代の男性のみならず、女性にも受けるのかについて考える必要があります。そもそも今回の例では元々のターゲットを30-40代の男性としていますが、このようなデモグラフィックに基づくターゲティングはあまり相応しいものとは言えません。なぜなら、性別年代が同じであったとしても趣味思考が違うことは往々にしてあることだからです。
そこで、30-40代の男女両性に受けることとなった共通する要素を抽出したターゲットを設定するべきです。例えば、「すっきり目覚める」を売りにしている缶コーヒーだとしたら「爽やかな朝の目覚めをもとめている人たち」が新たなターゲットになると考えられます。
以上のように段階的に判断することでターゲットの転換を行うべきか否か、転換の必要があるならどのように転換していくべきなのかが見えてきますよね。
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