コラム
価格を決定するにあたっては、以下の3つを組み合わせて考えることが一般的でしょう。
原価ベースとは、商品の製造コスト、サービスの提供コストをベースに、利益を上乗せする考え方のこと。マーケットベースとは、 競合の販売価格を参照する考え方で、価値ベースは、 消費者が認識する価値に基づいて価格を設定する考え方のことです。原価ベースやマーケットベースの値付けは自社のブランド力を反映している価格ではありませんので、できるかぎり価値ベースの価格設定を考えることが理想だと思います。
価格は、マーケティングミックスの中で唯一、売上・利益に直接影響する要素です。
利益 = 売上 – コスト = 売上数量 × 価格 – コスト
安易な価格変更は小売店や卸、もしくは製造業者などステークホルダーへの影響も大きくなります。それだけに、価格の変更にあたっては、さまざまな視点からの調査検証が必要になります。定性的な検証と定量的な検証をそれぞれ簡単に説明します。
価格を変更したい状況下においては、「高い」「安い」いずれかの問題を抱えているケースがほとんどでしょう。ただ、安易に結論を出してしまうのは危険です。
消費者の頭の中にある価格が、実際の価格と一致しているとは限りません。「高い」と思い込んでいるだけで、実際には高くない、もしくは、「安い」と信じているけれども、実際にはそこまで安くない、こういった認識のズレは頻繁に発生します。購入頻度が少ないカテゴリであれば、よりこの傾向が強くなります。
上記はあくまで一例に過ぎませんが、定性的に価格を分析する際は、まず消費者の頭の中にあるイメージをしっかりと理解することが重要です。そして、消費者の価格に対する評価がどのように構築されているのかを理解しなければなりません。消費者の価格に対する思考プロセスを理解した上で、どこに介入していくのかを決めるべきです。価格を最適化しようと考えてリサーチを実施しても、真に必要なアクションは価格改定ではないケースも、よくあるのです。
価格の定量的な考え方自体は難しくありません。売上なのか利益なのかは違いはあっても、おおよそ考えることは同じで、主に以下のように算出します。
\(v:\) 売上個数、\(p:\) 価格とし、価格以外の条件を固定する条件において、売上個数は価格によって決まると考えると、売上\(S\)は、
$$v=f(p)$$ $$S=p \cdot f(p)$$
と考えることができます。したがって、売上を最大化する価格\(p\)(厳密には極値)は、
$$\frac{ {d}S }{ {d}p } = 0$$
を解くことによって求められます。
したがって、価格を定量的に考える場合、\(v=f(p)\)の関係式をどのようにして得るか、という点に論点は絞られます。
\(v=f(p)\)を得るための手法はたくさんあります。消費者調査を使ってもできますし、POSデータを分析することでも可能です。ただし、POSデータで分析できるのは、過去存在していた価格帯が中心です。そこから大幅に外れる場合には成立しないことがほとんどですので、注意が必要です。
売上個数が価格のみの1変数で表せない場合、計算が複雑になります。ただし、外的要因を適切に排除した場合、売上個数は価格のみで説明できることがほとんどだと思われます。
また、メーカーのようなBtoBtoC事業者は、toCの価格を自由にコントロールすることは難しくなります。報奨金や販促金の配分などを考えて、できる限り想定する価格を実現することも重要です。
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2018年4月20日 堀井 里奈