インタビュー後に行う抽象化と構造化のために必要なこと4つ

金瀬 幸子

※こちらの記事は、2020年1月22日に配信されたメルマガを編集して作成しました。

今回はインタビュー後に行う抽象化と構造化のお話です。

インタビュー後の抽象化とは、インタビュー対象者の発言から得られる個別具体的な事象の「意味」を取り出すことで、構造化とは、「意味」同士の関係を明確にすることです。そうした抽象化と構造化を行うことで、その他の個別具体の事象に対しても理解することができるようになります。この抽象化と構造化は個人の理解だけでなくセグメントなどで分けられた集団にも行うことが可能です。

抽象化を行うときは、様々な属性を伴った個別具体的な事象に対しその時に重要な属性が何かを考え、「意味」だけを抽出しなければいけませんし、構造化では、抽象化によって抽出された「意味」同士の関係を見つけ出し、全体の構造を明らかにすることが求められます。

抽象化と構造化の具体例を出してみます。

Aさんが残業中にたこ焼きを買いに行きました。別の日には、パートナーと喧嘩してクレープを買いに行きました。また試験が不安なときはパフェを食べました。

このような様々な観測事象の中から反復して行われているのは、「嫌なことがあったら食べる」ことだと言えそうです。これが、食べることに関するAさんの抽象化と構造化です。

食べる、だと過度に抽象的すぎるのでさらに、何を食べるのか…甘いものであれば何でも良いのかというと、たこ焼きがあるので違いますね。今回の抽象化では食べ物の種類という属性(例えば甘いもの、しょっぱいもの)は重要ではない気もしますが、それ以上はまだ分かりません。

この3つの食べるという観測事象からできる抽象化と構造化はここまでですが、他の発言からAさんの価値観などが分かると、嫌なことが何なのか、またどんな食べ物が良いのかを理解することができ、この食べることに関するAさんの抽象化と構造化の精度をさらに上げることができます。

実はこの抽象化と構造化に、私がホジョセンに入社して半年で最も苦しみました。抽象化を行い、そこで抽出された「意味」を構造化していくことが理解できず、この2つのプロセスを混同していたのです。先ほどの例で言うと「抽象化したら『この人は食べる』になっちゃうよね!?」とパニックになったり、『どんなものを』食べる事が分かったからといってそれが何になるのか?と悩んでいたのです。

インタビューの内容を抽象化・構造化するというプロセスや、それにより何を知りたいか、その結果からどのようなネクストステップに進むのかは設定していたものの、頭から抜け落ちてしまっていました。本当によく言われることでもあり私もこのコラムでよく書いてもいるのですが、目的が何かを常に意識することは、本当に重要なんですね…。

では、散々苦しみ抜いた私だからこそ、抽象化と構造化ができるようになるためにはどのようなことに気をつけるべきか、ご紹介します。

1つめは、インタビュー中のメモは重要だと思ったことの意訳を書くのではなく、インタビュー対象者の発言をそのまま書くことです。もし一言一句書き留めることができなくても、単語は必ず意訳せずにそのまま書き留めるべきです。これは、まず単語の意味はインタビュー対象者の文脈の中で定義されており、インタビュワーや一般的な単語の定義とのずれが後のプロセスで明らかになることがあるからです。ですからもしインタビュー対象者が「たこ焼きちゃん」と発言したら、たこ焼きに「ちゃん」をつける意味を探りにいかなければなりません。ちなみに、インタビュワーもそのまま「たこ焼きちゃん」という単語を使ってインタビューを続けます。

2つめは、文脈の中で抽象化、構造化を進める上では文脈を離れて(脱文脈化)、抽象化された「意味」たちの関係を考えます。この過程で、聞いている時は重要と思っていなかった発言から対象者の価値観が見えてきたり、別の箇所の発言との関係が説明できたりします。

3つめは、先ほども書きましたが「目的とネクストステップを常に意識すること」です。何を理解するための抽象化と構造化が必要で、その抽象化と構造化に含まれるべき要素は何かを把握することで、抽象化の際に、個別具体的な事象の中から具体的なまま残しておかなければいけない情報、抽象化する際に削ぎ落とすべき情報や、それらを構造化していく上で必要なつながりが分かってくるはずです。

最後の4つめは、理解を進めながら「つまり?」「で?」「だから?」と自分で問いかけてみることです。その調査の目的やネクストステップに進むために知りたいことが分かるまで、問いかけ続けることで、必要なレベルまで事象の抽象化や構造化を進めやすくなると思います。

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