コラム
中堅家電メーカー広報部に所属しています。競合他社と比較して、うちには誇れるものがなかなか見当たらず、どうやって商品の強みを打ち出していいか見当がつかず苦戦しています。お客さまに響くようなアピールの仕方についてアドバイスが欲しいです。
家電メーカー勤務
企業ブランディング、商品のコンセプト設計、営業、マーケティングのさまざまなシーンで「お客さまにとっての価値とは」について考える機会があります。
さて、今回のご相談では、自社商品においてお客様に提供できる価値が見当たらないとのことでしたが、マーケティングとは本来、どのような商品であったとしても必ず売れるような仕組みを作ることです。今回の場合も、他社商品と比較して「誇れるもの」が見当たらないのであれば、なんとしてでも「誇れるもの」を作り出す必要があります。
そこで今回は、ある商品について、お客さまにとっての価値の生み出し方のポイントについてお話ししたいと思います。
まずは、あるカメラの以下の2つの紹介文を比べてみましょう。
この場合、1. がモノ視点で2. がコト視点で商品を紹介しています。
モノ視点が、性能やサービス(内容)、値段など、商品そのものの特徴に着目しているのに対し、コト視点では、その商品によってどんなことが達成されるのかに焦点を当てます。例のカメラの場合だと「カメラに慣れていない方でも、一番輝く瞬間を切り取ることができる」といったところでしょうか。
自社商品の価値は何かと聞くと、「モノ」について答える方が非常に多いような気がします。しかしながら、実はこれ、とても危険な考え方なのです!なぜなら、安さや性能、サービス(内容)といった「モノ」は、他者に真似されてしまうと対抗できないというリスクがあるからす。
もし、今回のご相談者さまが、性能やサービス(内容)、値段といったモノ視点で「誇れるものがなかなか見当たらない」と言及したのであれば、一度コト視点で誇れるものを探してみてはいかがでしょうか?
実際、今のトレンドとして、財(商品)よりも体験やサービスに対してお金を払いたい人の方が多くなってきています。また、技術の進歩により素晴らしい商品を大抵の企業で作れるようになったことから製品性能が消費者の選択の基準にならなくなってきており、よりコト視点での商品アピールが重要視されるようになってきました。
それでは、次は、コト視点で商品の価値を考える方法についてお話ししたいと思います。
まず、その商品の性質ではなく、その商品・サービスがあることによって、その商品を買った人の体験や価値観、心理面がどのように変化するのかについて考えてみてください。また、それらとあわせて、1.変化を必要とされる背景と、その2.変化が実現できると証明することができる要素、3.対象も一緒に考えてみましょう。
先程のカメラの例だと、1.動く被写体に対して狙った瞬間を逃してしまうことがよくある。2.は1秒間に50枚取ることができる3.はカメラが得意ではないお母さん、が文中から読み取れると思います。
1があることによって価値の重要性が分かり、2が提供する価値に信頼性を持たしてくれます。また3のように、ターゲットに絞ることで、消費者に私のことだと印象づけることができるので、購買意向をあげる効果があります。さらに、1・2・3に一貫性があるとより明確に価値をアピールすることができます。
コトの視点で考えることにより、運動会で写真を撮るにはこのカメラ!という認識を消費者に与えることができ、この認識は例え性能で上回っても覆ることのない価値になります。
いかがでしたでしょうか。もし考えてみても、これって本当に価値になっているの? それでもやっぱり難しい。という方はご相談だけでも結構です。ホジョセンまでお問合わせ下さい。
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