コラム
化粧品メーカーです。落ち着いた大人の女性の美しさをサポートするというブランドメッセージを掲げてきましたが、ターゲット層にアンケートをとるとどうやら、若くキャピキャピしたイメージだと思われていることがわかりました。私たちのブランドイメージとターゲット層のブランドイメージにずれが生じているのですが、このずれを直すにはどうすれば良いのでしょうか。
化粧品メーカー商品開発
今回のご相談のように、企業と消費者の間でブランドに対するイメージのズレがある場合は、自分たちが理想とするイメージに消費者が持つブランドイメージを寄せるのが一般的な手法です。
そこで今回のホジョセンメルマガでは、消費者が持つブランドイメージを自分たちの理想に近づけるためのプロセスを3つのステップに分けてお話ししたいと思います。
掲げているブランドメッセージがあるということですので、すでに自分たちのブランドを定義されているかもしれませんが、まだはっきりとはしていない…という場合は、まずは自分たちのブランドがどうありたいか、あるべき姿を明確にしましょう。どんなターゲットに向けたブランドなのか、そしてそのターゲットに向けて「あなたにこういうもの・ことを提供します」という約束を定義するなど、まずはブランドの理想の姿を社内でしっかり固めましょう。
ブランドの定義ができれば、次はこのブランドと消費者が実際に持つブランドイメージとで、どこがどのようにズレているのか、そしてなぜそのようなズレたイメージを持たれているのかについて検討する必要があります。
ただし、今回のご相談のように、消費者とのズレを調査したところ、意にそぐわない「若くキャピキャピしたイメージ」を持たれていたからといって、ブランドのターゲットを若者にシフトしてしまうと、強いブランドを作ることは難しくなります。「落ち着いた大人の女性の美しさをサポートする」というブランドメッセージを掲げているのであれば、ターゲットはあくまで大人の女性のはずであり、実際にターゲットに響いているのかどうかの現実をしっかり理解しましょう。
さて、消費者とのズレについて詳しく理解できたら、今度はどのようにすればそのズレが是正されるのかを考えなくてはなりません。
例えばご相談をいただいているケースだと、消費者に提供している化粧品のパッケージの可愛さやカラーバリエーションについて言及するよりも、その化粧品が肌をどんな状態にしてくれるのかや生活をどのように豊かにしてくれるのか、また、それを証明できる根拠として、成分のよさなど機能的な部分について訴求した方がいいのかもしれません。
「実際に思われていること」をどんなコミュニケーションをとれば「ありたいブランド像」に意識を変容できるのか、コミュニケーションを考えていきましょう。
一口にコミュニケーションといっても、広告宣伝物やCMだけではなく、商品パッケージや店頭の販売員など、消費者とブランドの接点は様々にあります。商品自体もブランドを伝えるコミュニケーションの一つとして考えることもできますので、場合によっては商品自体の改良も必要かもしれませんね。
全てのコミュニケーションにおいて、一貫性をもった同じメッセージを発信し続けることによって、ブランドによって伝えたいことが消費者に徐々に伝わっていきます。
さて、今回は、消費者が持つブランドイメージを自分たちの理想に近づけるためのプロセスについてお話ししました。
最後に大切なことですが、ブランドをしっかり持つことにより、既存のユーザーの一部が離れてしまうということもありますが、もし彼らがターゲットでないのであれば、それは仕方のないことです。
ブランドを育てていく観点から考えると、ターゲット以外の人にブランドを摺り寄せてしまうのはNGということを心得ておきましょう。
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