コラム

調査分析の範囲が絞れない? ロジックツリーで仮説を分解しよう

学びの記録
執筆
金瀬 幸子
公開日
2020年3月19日
更新日
2022年9月30日

こんにちは。株式会社ホジョセンの金瀬です。

今回のコラムでは、ホジョセンに入社して約3ヶ月が経ったので、振り返りとして「ホジョセンに入って得た学び」の1つについてお話しします。

新しいプロジェクトに入る時、みなさんはどのように取り掛かりますか?

前職では、私はまず最初にTo Doリストを作ってそれぞれに期限を決め、各項目を実行するにあたり必要なこと(物、スキル、知識、情報など)を書き出しています。そこからできるだけ単一スキルでこなせる業務にまで分解し、最終的にそれぞれを誰が行うかを割り当てて計画を立てていました。

振り返ってみると、こうした業務分解からスタートできるのは、「何をすべきか」が明確な状態でそれを実行することが上司からの指示として出されているという状況だったからであり、同じ社内でも部署(もしくは上司)が変われば違ったアプローチになっていたと思います。

ではホジョセンの場合はどうでしょうか。ホジョセンの業務というのはクライアントの状況に応じて毎回異なるスタート地点から始まりますが、どのプロジェクトの場合でも「仮説を立てる」ことから始まることが多いです。

「仮説を立てる」と言われてもすぐにピンと来ない方もいるかと思いますので、まずは仮説とは何か、というお話をしたいと思います。

リサーチを始める時には、まずビジネス上の課題(Business Question)がありますが、その課題にいきなり1つの答えを出せるわけではないですよね。その課題を解決可能なサイズまで分解していくと、だんだんと「調査などで確かめなければそうとは言えない」ものが出てきます。これがこのBusiness Questionの答えの仮説となります。

例えば、「みかんの出荷量を倍にするためにはどうすれば良いか」というBusiness Questionがあった時に、以下のように分けていくことができます。

  • ① みかんの出荷量を倍にするためには、国内出荷を増やす。
  • ② みかんの出荷量を倍にするためには、輸出を増やす。
  • ③ 国内出荷量を増やすには、食べる量を増やす。
  • ④ 食べる量を増やすには、加工品用の出荷量を増やす。
  • ⑤ 食べる量を増やすには、直接消費用の出荷量を増やす。
  • ⑥ 加工品用の出荷量を増やすには、品目数を増やす。
  • ⑦ 加工品用の出荷量を増やすには、みかんの使用量を増やす。
  • ⑧ 直接消費用の出荷量を増やすには、喫食者を増やす。
  • ⑨ 直接消費用の出荷量を増やすには、喫食量を増やす。

①から⑨までの分解は、調査などで確かめなくても正しいと分かりますよね。では、次の分解はどうでしょうか?

⑧-1. 喫食者を増やすためには、通販での販売を始めて果物を買いにくい環境にある層にリーチする。
⑧-2. 喫食者を増やすためには、スーパーの果物売り場で山積み販売を行って、認知を上げる。
⑧-3. 喫食者を増やすためには、卸先への出荷を安定させ、常にスーパーにみかんがある状態にする。

このような⑧-1~3の分解は、間違いではありませんが、実際にみかんの出荷量が増えるかどうかは分かりませんね。これがこのBusiness Questionの仮説となります。

この仮説を作る際に使用した上記の図はロジックツリーと呼ばれ広く知られているので詳細は書きませんが、このような分解を経て、仮説を複数出すことができます。

当初のBusiness Questionである「みかんの出荷量を倍にするにはどうすれば良いか」だけでは、現状のデータの把握と、その状況を解決できるであろう改善策を手当たり次第出してみるといったようなアプローチになってしまいますが、上記のように分解をしておくと、調査すべきデータが明確になり、そのデータにより改善すべき数値が分かります。

また、仮説までの分解の仕方は1つではありません。

例えば、
①みかんの出荷量を倍にするためには、国内出荷を増やす。

から先の分解を、
②-2. 国内出荷を増やすには、販売してくれるスーパーを増やす。
②-3. 国内出荷を増やすには、通販などの新たな販売形態を開発する。

このように分けると、前述の仮説とは全く方向の違う仮説が出てきます。こうして仮説まで分解した際に、必要なデータがとれるのか、必要な施策がとれるのかなどを考えながら何パターンもロジックツリーを書いていきます。

目的によっては、1つのロジックツリーで良いこともありますが、今回のようにブレインストーミングで様々な仮説が必要な場合は、複数のロジックツリーを作成し平行して検証していく必要があります。仮説は複数あるのでどれか1つを選ぶ必要はありませんが、全体の戦略との一貫性やビジネススコープ、今回のプロジェクトにおける優先度などによって取捨選択は必要です。そうして出された仮説のうち、政府統計や2次データなどを利用して潰せる仮説を潰してから、残った仮説に対して調査分析を行っていきます。

仮説が明確であればあるほど調査分析の範囲は狭まり、費用も抑えることができ、プロジェクト後のアクションも起こしやすくなります。ホジョセンでは、このようなBusiness Questionの分解を経て明確なロジックに基づきプロジェクトを進めています。

※こちらの記事は、2019年9月25日に配信されたメルマガを編集して作成しました。ホジョセンメルマガの登録はこちらから!

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