強みに独自性をもたせるコツ

高橋 孝之

調理器具メーカーのマーケティング担当です。
弊社商品の強みの発見をするために、どのような点が優れていると思うか社員にインタビューしました。
しかし、まとめてみると「軽くて取り回しやすい」「シンプルな見た目で台所になじむ」「アフターサービスが充実している」など、どれも他社商品でも代替可能な、凡庸な内容になってしまいました。
インタビューやその分析において、強みに独自性を持たせるためのコツはありますか?

調理器具メーカーマーケティング担当

そもそも、インタビューの質問が良くなければ、その結果をいくら分析しても凡庸な結果にしかならないですよね。「弊社商品のどのような点が優れていると思うか」というような質問を最初の切り口として使うのは良いものの、物性についての回答だけをまとめて強みにしてしまうのはあまりよくありません。

なぜなら、「軽い」「シンプル」「アフターサービス」などの物性の価値は真似されやすく、なかなか独自性をもたせにくいからです。しかし、その商品がお客さんに与える「わくわくする」「楽しい」といった感情や思いは、たやすく他社が真似することのできない価値ですよね。

ご質問の中で挙げられている「軽い」「シンプルな見た目」「アフターサービスが充実」などの回答は機能についての話ですが、 その機能について、どうして優れているのか、お客さんにとってどのように良いのかといったように、物性→便益→価値の順で顧客の生活に与える影響へと思考を深めていくことが大切です。

そこで、強みの主語を、商品からお客さんに変えてみてください。

ご質問の例で言えば、商品の特性を消費者目線でみると、「軽い(物性)から取り回しやすい(便益)」「シンプルな見た目(物性)で台所になじむ(便益)」「アフターサービスが充実していて(物性)すぐ修理できる(便益)」といった便益が考えられます。 

さらに、その便益による価値、つまり消費者の生活に起きる変化まで考えると、「軽くて(物性)取り回しやすい(便益)から、凝った料理を作りたくなる(価値)」「シンプルな見た目(物性)で台所になじむ(便益)から、キッチンを他人に見せたくなる(価値)」「アフターサービスが充実していて(物性)すぐ修理できる(便益)から子どもと一緒に料理を楽しめる(価値)」といった強みが見えてきます。

ただ、商品に愛着がわいたり、もっとその商品を買いたくなる、といった心情の変化は、商品の価値を享受した結果であって価値自体ではないことに注意してください。

このように、階層構造で意識や価値を調査する手法をラダリングといいます。

弊社が強みについて社内ヒアリングをする際にも、全社員を対象にしたインタビューを行うことが多いですが、強みは多数決で決まるものではありませんし、全てが強みになるわけではないことに注意が必要です。さらに、必ずしも一つの便益が一つの価値になるとは限りません。複数の便益を切ったり組み合わせたり分けたり、競合の視点も取り入れて考える必要があります。

また、「強み」とは、必ずしも今存在している価値しか扱えないわけでなく、ブランドが目指していく目標、こうあるべきだという信念を示す場合もあります。

このように、商品と顧客との関係性を考えてみると、強みの内容がより独自性を持ってくるのではないでしょうか。

「軽い」という物性にはどんな便益があるのか?その便益にはどんなニーズがあるのか?と、消費者がどのようなロジックで商品を通して欲求を満たしているのかという視点で考えてみてください。  

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