コラム
新商品発売前の調査の結果は良かったものの、発売後のお客様の声とは異なることがしばしば有ります。調査や販売までのプロセスについてどのような改善点があると考えられますか?
生活用品メーカー
調査結果と、商品を実際に市場に出してからで異なるということが、しばしば起こるとなると、調査過程のどこかに問題がある可能性があります。考えられる要因は3つです。
意図せず、自社に有利な状況でテストを行ってしまうということがあります。例えば、パッケージテストを机上で行い、実際に棚に並ぶと類似したパッケージ商品が既に存在しており、目立たないケース、自社商品が有利な見せ方や聞き方になっている状況でモニターの評価が行われるケースなどが挙げられます。
実際に市場に出した場面を想定してテストをしていないと、正しい結果は得られませんので、その調査は本当に公平なのか、十分に検証した上で正しい調査を行いましょう。
例えば、モニターに購入するか否かを聞いた調査で6割の人が購入するとの結果が出たとします。但しこちらの数値は、配荷と認知が100%であることが前提になります。モニターに見せている時点でその2点は達成されてしまっていますので、実際の配荷や認知の状況を考慮して結果を捉える必要があります。
また、モニターが本音では別のことを感じていても、当たり障りの無いコメントになっていることも往々にあります。場の雰囲気に流されてしまうなど、どなたにでも有り得ることかと思うのですが、調査の場合はそれを見極めなければなりません。
このように、調査結果をそのまま受け入れてはいけない場面も存在します。調査結果を正しく解釈するにはある程度経験や知識が必要になるので、事前に準備しておきたいところですね。
正しい調査、解釈が行われていたとしても、そこから出てきたコンセプトなどがTVCMなどにきちんと反映されるものになっておらず、思うような結果がでない事があります。また、パッケージの調査においても、最後の調査から修正を加えたものを発売すると、たとえわずかな変化であっても、大きく影響することがあります。したがって、最終段階の調査は「確認する為」と心得て行うのがいいかと思います。もちろん、商品の開発段階でのテストについての修正などは問題ありません。
1~3をまとめると、調査と実際に市場に出した時のギャップを是正するには、いい得点を取るという意識を排除し、あくまでフェアな状況のもと、最終物を調査にかける必要があります。
これらをふまえて過去の調査を振り返ってみると、意外な落とし穴が見つかるかもしれません。きちんと区切りを付けてプロセスを組み立て、調査に臨むことが重要ですね。
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2017年3月16日 高橋 孝之