コラム
最近、定性調査(インタビュー調査・ユーザーインタビューなど)が流行っているのでしょうか。いままでリサーチといえばアンケートなどの定量調査ばかりをやっていた企業さんが、インタビューなどの定性調査をやり始めるケースが増えてきている気がします。
アンケートでなかなか理解することのできない、ユーザーの深層心理であったり、無意識の行動であったり、感情の動きであったりをしっかりと踏まえてプロダクトの開発に活かしていくという流れは、ビッグデータや機械学習の流行と平行しているあたり、非常に面白いなと感じています。
さて、とはいうものの、定性調査・ユーザーインタビューって難しいんですよね。アンケートと違って「数字」で見えるわけでもありません。何をどのように分析するのかに困るという声も同時によく聞きます。
定性調査の分析にはさまざまな考え方・手法がありますが、初心者の方におすすめしたいこととしては、「違和感を大切にする」ということです。違和感というのは、一連の行動の中で必然ではない行動であることがほとんどです。たとえば、リモコンの電池を交換するプロセスの中で、古い電池をグリグリしているとしたら、その行動は必然ではないはずなんですね。電池を交換するだけなら、電池を取り出して、新たな電池を開封し、挿入すればいいはずで、古い電池をグリグリするというプロセスは本来不要なはずです。でも、そのプロセスが発生する。そこに違和感を感じて欲しいと思います。
なんでこの人は、電池をグリグリしたんだろう? その疑問には、理解が深まり、インサイトへとたどり着くヒントが隠されているのです。
よくある誤解として、ユーザーに聞けばなんでもわかる、ということがあります。そんなわけないんですね。インサイトはユーザーから直接教えてもらうものではなく、ユーザーの話や行動から、マーケター自身が解釈し発見するものです。そして、その発見は、ちょっとした違和感から始まることがほとんどです。注意しなければならないのは、ユーザーに違和感を語ってもらうわけではないということです。観察者であり傾聴者であるマーケターが感じる違和感を重視する必要があります。ユーザー本人すら感じていないことを、マーケターは違和感を頼りに解釈していく必要があるのです。
違和感を抱くにも、トレーニングが必要かもしれません。何も考えずにインタビューを聞いていても、違和感は感じないでしょう。インタビューの間、マーケターは頭をフル回転しなければなりません。本来不要なプロセスは何か、ごくあたりまえに通り過ぎてしまうけれども、よく考えたらちょっと違和感があること、そういう宝物を見逃さない。そのためには、とにかくユーザーに共感し、ユーザーと自分自身を重ね合わせると同時に、自分とは違う行動について貪欲にアンテナを張ってください。
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