コラム

ブランドものさしの作り方

Q&A
執筆
金本 奈絵
公開日
2017年11月24日
更新日
2022年9月21日

子ども向け教育事業を展開しています。少し前から、オンラインショップを立ち上げ、新たに知育玩具の販売を始めることになりました。とにかく、見ごたえのあるショップにしようという思いから、開始からしばらくは、とにかく商品数を増やすことに注力していたのですが、気がつくと、品数は充実したもののどれもテイストがバラバラ。どことなく雑多な感じがするショップになってしまいました。

将来的なことも考え、今のうちからこの雑多な雰囲気を改善し、きちんとブランディングされたお店にしたいのですが、何か対策はあるでしょうか?

教育関連

さて今回のご相談では、自社商品のテイストにバラつきがあるとのことでしたが、商品のテイストに統一感を持たせるには、「うちのブランドはこうあるべき」といった具体的なものさしが必要になります。

そこで、今回のホジョセンメルマガでは、新商品を開発する際に、その商品がちゃんとブランドの意図するところに合致しているかどうかを測るためのものさしの作りかたについてお話ししたいと思います。

step1 理想像を定める

まずは、そのブランドが、どこの誰に向けてどんなメッセージを発しているものなのか、あるべき姿やなりたい姿といった、ブランドとしてのゴール(理想像)をちゃんと定めましょう。

例えば、ただ「走ってください」と言われると、どこに向かって走っていいのか分からないですが、「500m先のあの建物まで走ってください 」と具体的なゴールが示されると、その建物に向かって全力で走ることができます。

要するに、ブランドとしてのゴールを具体的に示しておけば、どんなにたくさん新商品ができたとしても、バラバラの場所ではなく、結果として同じ着地点に行き着くことができるということです。

もし、ご相談者さまの中に既に「うちの商品はこんな感じ」というイメージがあるのであれば、それを1度明文化してみるといいかもしれません。そうすることで、より具体的な着地点を社内のみんなで共有することができ、たとえ商品開発に関わる人や部署が変わったとしても、商品のテイストにバラつきが出るという現象は防ぐことができるでしょう。

また、どのようにイメージを明文化していいのか分からないという人がいれば、ネット検索で電通ハニカムモデルやブランド・キーといったサポートツールも色々と紹介されているので、ぜひ1度試してみてください。

step2 理想を具現化する

理想が定まれば、今度はその理想を具現化するための手段を考えなくてはいけません。マーケティングにおいて、ブランドの理想像(世界観)を表現するためのルールを、トーン&マナー(以下トンマナ)といいますが、どんなブランドロゴにするのか、パッケージをどんな配色にするのか、商品名をどのような書体で表記するのかなど、これら全てがトンマナにあたります。

例えば、今回の知育玩具のブランドイメージが「快活な子どもを育てる」であるのであれば、モノトーンや落ち着きのある色彩よりも、ビビットでカラフルな方がぴったりくるでしょう。

また、トンマナは、色や書体以外にも、スペースの取り方、ロゴの縦横比率など、本来ならば、もっとこと細かく指定されます。もしかすると、「あまり規定が多いとデザインに制約がかかって自由に商品が作れない」と思う人がいるかもしれませんが、規定があるからこそ、統一感のある商品を作ることができ、統一感があるからこそ強いブランドになるわけです。

ちなみに、トンマナの適応は商品だけではありません。HPや広報、その他制作物など、消費者とのコミュニケーション全てにおいて同じトンマナである必要があるということを心得ましょう。

さて、以上二つのSTEPを踏襲することで、ブランドとしての明確な基準が出来上がり、新商品をたくさん開発したとしても、そのたびにその基準と照らし合わせながら、「これはイメージに合う」「こっちは雰囲気がなんか違うね」と判断することができるようになります。

ただし、最後に1点押さえていただきたいのは、ブランドのものさしも、誰が使っても同じ目盛りでなくてはならないということです。例えば、Aさんが測れば3cm、Bさんが測れば5cmとなると困るように、Aさん的には商品Xは自社商品っぽいけど、Bさん的には自社商品ぽくないと、人によって判断や解釈が異なるようでは、たとえ、明文化されたブランドガイドラインが作られていたとしても、それは全く使い物にならないですよね。

もし、社内全員で共通の認識が持てるようなトンマナを作るのが難しいということであれば、1度既存の商品1つ1つについて、「これはブランドのトンマナに合う」、「こっちは合わない」とイエス・ノーボードを作りながら意見のすり合わせを行うのも1つの手です。

さて、長々とお話しさせていただきましたが、一概にブランドの基準を作るといっても、実際に始めてみるととても骨が折れる作業で、なおかつ1度作って終了ということではなく定期的にメンテナンスが必要となります。

もし今、自社商品のブランドについて何かお困りごとがある方は、ホジョセンにお気軽にお問い合わせください。

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