「探す」ではなく「つくる」、商品開発における未充足ニーズ

尾崎 久恵

日用雑貨のメーカーです。キッチンで使う日用品の商品開発をしています。様々な商品を開発してきましたが、まだまだ消費者の方が「満たされていないニーズ」をもっているのではと考えています。未充足ニーズを知って、それを商品開発に使いたいです。

家庭用消費財メーカー

ニーズを知りたい、しかも満たされないニーズを知りたいと考えるメーカーさんは非常に多いようです。満たされていないニーズがわかって、そこに新しい商品を開発できたら素晴らしく売れるのではないか!と。

ブレイクスルー、起こしたいですよね。

そう簡単には未充足ニーズを探せないことは分かっている…でも知りたい!といった思いでしょうか。小さくてもいいから、とにかくブレイクスルーを起こしたいという方に明日から始められる未充足ニーズの探り方をご紹介します。

研究開発チームに張りつこう

商品開発チームの方と、研究開発チーム方の距離を近づければ、意外な宝が見つかった…という話を耳にすることがあります。ちなみに…逆に商品開発チームと研究開発チームに距離(物理的にも心情的にも)があるという話はもっとよく聞きます…。

未充足ニーズを見つけることって、研究開発の段階で出てきた、使われていない技術であったり、わかっているけど特に商品に関係ないから利用していないデータであったり、そんな「既にあるけど利用価値がないと思っていたもの」を別の視点から見直すことで、新しい価値を付加できるようになることもあるようです。また、既にあるものを活用することの良さは、研究開発費を抑えられるという良さもあります。

まずは、捨てられている技術やデータを探しに社内でたっぷり雑談を始めてみるのはいかがでしょう。意外なものが見つかるかもしれません。

とにかく真面目に調査してみよう

1の応用編になりますが、研究開発チームからテクノロジーサイドの情報をかき集めて、狩野モデルを使った調査をしてみるのもお勧めです。狩野モデルとは、顧客の求める品質を「魅力品質」「一元的品質」「当たり前品質」の3つにわけるという東京理科大学名誉教授の狩野紀昭氏が提唱したモデルです。詳しくは他の情報源にお任せするとして…大事な点を少しお伝えしますと…。狩野モデルを商品開発にうまくつなげるために重要なのは、テクノロジーサイド、つまり研究開発チームが商品に応用可能だとする技術のみをひたすら多く集めて行うということです。魅力的でかつ実現可能な品質ニーズでなければ、いくら未充足ニーズが見つかったとしても、どうすることもできないからです。

未充足ニーズ探しは止めてしまおう

身も蓋も無い話で申し訳ありません。大海原に出てニーズ探しの長い旅に出たとしても、時間と労力だけが異常にかかってしまい、結局大した成果はなかった…。非常に残念ですが、ある話だと思います。やれることをやって、それでも見つからなければ…、未充足ニーズ探しの旅はいっそ止めてしまいましょう。

いえ、止めても大丈夫なんですよ。未充足ニーズが見つからなくても、それでも商品を売ることができれば、問題はないはずです。未充足ニーズを探すのではなく、商品のコミュニケーションによって、今まで充足されていたと思っている消費者の認識をコントロールし、未充足なニーズだと思ってもらえれば成功なのです。「今まで綺麗だと思っていたテーブルの上が、実はバイキンだらけだったんです」「あなたの飲んでいる乳酸菌は実は腸に届いていないんです」「安心だと思っているあなたの家は実は不用心だったんです」的な…挙げればキリがありませんが、消費者の認識を変えることによって、無かったところに未充足ニーズを作り上げるという手法は多くの企業に使われています。商品開発も商品改良も行わなくても、コミュニケーションの変更だけで新たな売上を作ることができる、こういう未充足ニーズの作り方も随時織り交ぜていくことをご提案します。

ここまでお読みいただいてお分かりよのように「未充足ニーズを知りたいので、消費者に聞いてみよう!」と調査をしても、残念ながら本当に使える「答え」が出てくることは無いと思っています。消費者調査では、ヒントを集めることはできますが、「答え」を得ることはできないのです。やっぱりニーズ探し(作り)は、地道に行うしか無いんじゃないかな…と思っています。

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