コラム

競合が自社ブランドの類似商品を発売するときの対抗策は?

Q&A
執筆
尾崎 久恵
公開日
2016年11月11日
更新日
2022年9月29日

競合メーカーが弊社の商品と非常によく似た商品を発売するとの情報をつかみました。できるだけ早く対抗策を講じたいのですが、まず何をする必要があるでしょうか?

家庭用消費財メーカー

各メーカーが切磋琢磨し続け、かつ成熟した日本市場の中、こういった似通った競合商品の出現はいたるところで頻繁に起こりますね。家庭用消費財の場合は、春と秋に新製品やリニューアル品を上市していますので、今回のご質問の場合は、発売日まであと2〜3ヶ月くらいの夏か冬(もしくはもっと直近になった?)時点で、営業さんが営業先で聞きつけてきたのかもしれませんね。まずは落ち着いて、できる限り情報を集めましょう。いかに正確な情報を早く集めるかが、精度の高い対抗策をどれだけ早く打てるか、につながります。

情報をできる限り集めたら、今度は競合の新製品がいったいどのくらい自社の現ユーザーに響くのか?どのくらいの自社ユーザーが競合の新製品にブランドスイッチしそうなのか?検証を始めていくことになります。似ているからといって、市場に先行発売しているのですから、そう簡単にブランドスイッチされるとは限りませんが、「どこがどう似ていて」「何が違うのか」まずは明確にすることで、何が起こり得るのか予測をしていきましょう。

まず何よりも先にできる対抗策1つと、競合の新製品の状況に対抗する策として3つのパターンそれぞれをご紹介します。

今すぐできる対抗策

非常にシンプルではありますが、今すぐできる、そして今すぐ動かなくてはいけない対抗策として「CM投下量をあげること」「店頭でのチラシや山積み獲得に動くこと」があげられます。CM投下に関しては、とりあえず今あるCMを使えば良いはずですので、すぐに始められると思います。
チラシや山積みに関しては、特別に販売促進費(マージン)をつけたりして、全国の営業に商談に走ってもらいましょう。新商品の発売前に既存の御社ブランドが「売上を作れるブランド」というポジションを獲得しておくことも大切です。バイヤーは「担当売り場あたりの売上と利益」をいかに伸ばすかを考えているわけで、新商品と既存品をうまく組み合わせて売上を作らなければいけないことは良く理解しているはずです。

競合の新製品に応じた2つの対策パターン

機能的に大きく差が無いにもかかわらず、ちょっとした機能性の違いを大きくコミュニケーションしている場合機能性に差がないとはいえ、この場合は、放っておけば現ユーザーを奪われてしまう可能性がありますので、気をつけなければいけません。まず「ちょっとした機能性の差によって得られる価値」これがそもそも自社商品では達成できないのか検証の必要がありますね。機能的に違いがあっても、結果的に同じような目的が達成できるのであれば、その部分をコミュニケーションしていくことで、競合の強みを消す事が可能になります。

パターン1 機能的にもコミュニケーションにも大差が無いが、価格を安く設定している場合

価格勝負を仕掛けてこられることももちろんありますね。まずは御社も売価を下げられないか、検証はしてみてください。価格を下げ続けることはブランド維持のためにおすすめはしませんが、一時的な対抗策と限れば、使える方法だと思います。

長期的にみると、日用品の場合、小売のバイヤーは商品棚あたりの売上と利益を追求していますから、バイヤーにとっては必ずしも価格の安さは絶対的なポジティブ要素だとは言いきれません。自社商品がある一定の売上を確保している場合(もちろん売れていなければ厳しいですが…)長い目で見て商品棚に自社商品がどんな貢献ができるのか、BtoBサイドでの棚を守る商談にも注力しましょう。

パターン2 競合の新製品が、機能的にそもそも優位である場合

この場合は、真正面からぶつかることはおすすめしません。自分達が真似できないものであれば、その機能から消費者の目をそらせるような他の視点を用意することです。例えば、「タンパク質汚れに強い食器用洗剤」なら、コミュニケーションによって→「お皿汚れはタンパク質汚れだけじゃない!優位性を感じないなぁ」と消費者に思ってもらう、など。そして別の判断軸を消費者に提供するのです。

今までお話ししてきたように「相手の強みを消す」こと、「別の判断軸を提供すること」で、商品自体を変えるようなプロダクトイノベーションを行わなくてもコミュニケーションで太刀打ちすることは可能です。何とかアイデアを絞ってみましょう。

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