コラム

定性調査における質問内容と順番について

Q&A
執筆
高橋 孝之
公開日
2018年4月12日
更新日
2019年5月21日

高級路線の化粧品会社のマーケティングを担当しています。高所得層の主婦が主な顧客でしたが、最近では一般のOLの割合が増えてきています。新規の顧客層が、弊社の商品のどこになぜ魅力を感じているのかを1対1のインタビューで詳しく調べたいと思っていますが、質問内容とその順序を考えるにあたってはどのような点に気をつけるべきでしょうか?

化粧品会社

消費者が自社商品に感じている魅力を知るために1対1の定性調査をしたいが、どのような点に注意すべきか、というご質問ですね。質問の内容と順序の2点から、気をつけるべきことをお伝えします。

仮説を立てる

今回の場合は自社商品についての魅力を知りたいとのことですから、まずはインタビューにあたって、「一般のOLは〇〇だから自社商品Aの△△に魅力を感じている」という仮説を事前に立てることが必須です。それによって、インタビューを通して何を確かめたいのかという軸が定まるからです。

ファクトに基づく質問を

インタビューでは、解釈・分析するのに十分な周辺情報を収集することを目標にしましょう。特に、エピソードや行動などのファクトに基づくものを質問するとベターです。
インタビューではできるだけ自然に話してもらうことが重要ですので、回答者に分析をさせてしまうような質問は避けるように注意しましょう。

具体的には、「製品Aについてどう思いますか?」と聞くのは構いませんが、「製品Aを好きな人とBを好きな人ではどう違いますか?」と比較検討させるのは良いとは言えない、ということです。こう聞いてしまうと、回答者自身の話ではなく、回答者の考える世間の話、つまり一般論としての回答が返ってくる可能性がありますよね。

あくまでも、分析するのはマーケターの仕事です。どんな情報があれば後で分析・解釈することができるかを考慮して、質問内容を考えてみてください。

依存関係と深浅を考えた自然な順番を

また、順序も重要な要素です。質問する順序によって、回答者の頭の中のモードが変わってくるので、なるべく回答内容にバイアスがかからないような自然な順番を考えましょう。

また、例えば、競合製品Bを使っていない人にBの使用感について質問することはできませんよね。そのような依存関係にある質問は、先に聞く必要があるといえます。さらに、全体の流れとして、浅い質問から深い質問へと聞いていくことも大切です。例えば「どんなときに自社製品Aを使いますか?」は答えやすいですが、「Aを使った後に得られる価値を教えてください?」は比較的答えにくいのではないでしょうか。答えやすいものから質問していくよう心がけましょう。

非構造化インタビュー

しかし、あらかじめ決められた順番通りがちがちに質問しなければならない、ということでは決してありません。今回のような「理解をしたい」場合には、回答者の質問にうまくのっかっていくスタイルの方が向いているからです。流れに応じてリアルタイムに構成していく「非構造化インタビュー」の形式では、予想していないことにも対応でき、対話を通じて理解を深めていくことができます。

例えば「OLが自分のために使えるお金が増えたから」という仮説があるとすると、回答者の回答に結婚や仕事や人生観の話が含まれていればそれぞれに対応して切り込んでいくことができます。モデレータの力量は問われますが、知らないことへの理解を深めていくのにおすすめの方法です。

以上、インタビューの質問内容と順序に関してお話ししてきましたがご参考になりましたでしょうか。お悩みの点がありましたら、お気軽にご相談ください。

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